オリンパスOMシステム_OLYMPUS OM-1N(Black)
私のカメラの想い出を少し語ります。
私の初めての一眼レフは結果としてOM-1(シルバーボディ50mmF1.4付)でした。
中学生だった私はカタログを集めまくり、6ヶ月にわたり穴のあくほど毎日眺めていました。
値段を考えなければ、本当に欲しかったカメラはニコンF2かFのブラックボディでした。(当時天体写真を撮る関係でミラーアップできるカメラが欲しかった。格好良いのでブラックボディが欲しかったのですが、暗い所で使うから光らないようにという屁理屈を考えていました)
でも50mmF1.4付で軽く10万円を超えるカメラを買ってもらえるとは思えず、欲しい気持ちは心にとめてOM-1が一番いいよねぇと考えるのでした。
しばらくして母が父に伝えてくれ、やっとの思いで買ってもらえることになり、父と駅前商店街のカメラ店へ。(ヨドバシカメラに買いに行くのが一般的じゃなかった時代)
私はOM-1のブラックボディ50mmF1.2付が本命で、これを買ってもらうものと心に決めていました。
父:「息子にカメラを買ってやろうと思う。ニコンってどうだ?」(本当に欲しいものはバレていた)
店主:「ニコンは中学生にはまだ早い。こんなのを使う中学生なんていないよ」(いきなり否定されてしまった)
父:「そうだよな。プロじゃあるまいし」
店主:「高いよ、ニコンは。ペンタックスじゃないのかな写真部は」
父:「天体の写真を撮るためのカメラなんだよな」
私:「天体写真を撮るからミラーアップできるのが良いんだ。ニコンじゃなきゃ、オリンパスだね」
店主:「詳しいねぇ」
父:「欲しいと思ったら、それしか考えられないからな、こいつは」
店主:「あるよOM-1。触ってみるかい」(OM-1シルバーボディ50mmF1.4がショーケースから出てきた)
私は、カタログ以外で見たことはなく、OM-1を触ったのは初めてでした。良いなあ、コレ。でも、違うぞ、ブラックボディで50mmF1.2が欲しいんだ。このカメラ店にはブラックボディは置いてありませんでした。
父:「どうだ、それは」
私:「黒いのはないんですか、1.2のレンズは?」
店主:「黒? プロじゃないんだから。1.2のレンズは高いぞ」(今、ここにあるOM-1シルバーボディ50mmF1.4付を売ってしまおうという魂胆が見え見えです)
店主:(父の方を向いて)「今、息子さんが手に持っているカメラが、値段的にも一番良いと思いますよ」(シルバーボディ46,000円、レンズは良く覚えていませんが20,000万円くらい。1万円札を7枚出したような記憶が…)
父:「そうだよね。どうする、お前は」
短気な父、物を買うのに縁と流れを大切にする父、ここでノーと言ったら、あるいは取り寄せてくれと言ったら、きっとカメラを買ってもらう話もなくなってしまうという恐怖を感じました。
私:「これが良い」
こうしてOM-1は私の手元に来たのですが、3年後に本当に欲しかったニコンF2を手に入れたため、使うこともなくなり、中古店に売り飛ばしてしまいました。
そのことをずっと後悔していたので、長いことオリンパスを見ないようにしてきました。ところが、レンズ(ZUIKO AUTO-MACRO 50mmF2)を手に入れてしまったのです。カメラボディは当然ありません。
それじゃあ、あの時欲しかった黒ボディを手に入れよう!!!
30年以上も前のカメラです、良い状態のものになかなか出会えずにしばらく探し回りました。
都内のとある小さなカメラ中古店で出会いました。
以前売り飛ばしてしまったOM-1に詫びる気持で買いました。
それが、こいつです。
RICOH GX200 at f2.9 1/5sec.(ISO154)
ここにASA感度ダイヤル(現在はISO)が付いているのは、このカメラの特徴です。当時のH-D型(MR-9)水銀電池1.3Vは、すでに販売されていませんので(環境汚染防止のため)、バルタ製625U型(ドイツ製)の1.5Vアルカリ電池が入っていました。露出計の精度はその電池で調節してあるようです。(OM-1はフルマニュアルカメラなので、電池がなくてもシャッターは切れます)
RICOH GX200 at f2.9 1/4sec.(ISO154)
大きなミラーボックスです。
ミラーに写っているのはファインダーの向こう側の景色です。
RICOH GX200 at f2.9 1/6sec.(ISO154)
<OM-1Nの仕様>
・形式:35mmフォーカルプレーンシャッター一眼レフレックスカメラ
・画面サイズ:24mm×36mm
・レンズ:オリンパスOMマウント、バヨネット交換式(回転角70°)フランジバック46mm
標準レンズはF1.8、F1.4、F1.2の3種(いずれも最近接撮影距離45cm)
・シャッター:フォーカルプレンシャッター、マウントダイヤル式、B・1〜1/1000秒
・シンクロ:FP・X(1/60)接点切換付
・ファインダー:ペンタプリズム式広視野ファインダー、フォーカシングスクリーン交換可能、露出計測光表示付、視野率約97%、倍率0.92倍、スプリットマイクロ式(1-13)標準装備
・ミラー:大型クイックリターンミラー、ミラーアップ可能
・フィルム巻上げ:レバー式、小刻み巻上可能、巻上角150°、予備引出角30°、セルフコッキング、二重巻上防止・二重露出防止付、モータードライブ(5コマ/秒)・ワインダー2(2.5コマ/秒)装着により連続巻上可
・フィルム巻戻し:クランク式、巻戻しクラッチセット式、自動復元
・露出計:TTL式(CdS2個使用)、開放測光式中央重点測定、ファインダー内定点合わせ式、露出計ON・OFFスイッチ付
・測光範囲:F1.4付でASA100のときEV2〜17
・使用電池:水銀電池(JIS・H-D型)1.3V1個使用
・フィルム感度ダイヤル:ASA25〜1600、ロックボタン付
・セルフタイマー:レバー式(回転角180°)約12秒、4秒以上時間調節可能、スタートレバー回転により始動、始動後スタートレバー逆回転により再セット可能
・アクセサリーシュー:専用ユニット着脱式、コードレス接点付
・サイズ:136mm(幅)×83mm(高さ)×50mm(奥行)
・重量:510g(ボディのみ)
・発売時期:1979年3月
・発売時価格:50,000円(ブラックボディは4,000円高)
RICOH GX200 at f2.9 1/5sec.(ISO154)
33年間一緒のニコンF2と一緒に記念撮影。
こんなに大きさが違います。
RICOH GX200 at f2.5 1/8sec.(ISO154)
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コメント
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当時の情景がよく分りました
子供の時の「下手すると買って貰えなくなるかも」っていう一種の恐怖感?がよ~~~く伝わって来ました!!
そして読み物としても秀作だと思います。
ぽよりんさんは、文才もあるから羨ましいです
・・・それにしても・・・
とんかつ・・・「甘口」ソースには見えなかったので、いま戦慄しております~~
ヒィー(((゚Д゚)))ガタガタ
投稿: 亀三郎 | 2009年4月14日 (火) 23時32分
亀三郎さん、こんばんは。
褒めていただいてありがとうございます。
書いていて昔の想い出がよみがえりました。
ソース、びっくりですねぇ。
どこまで奇遇が続くのでしょうか・・・
投稿: ぽよりん | 2009年4月15日 (水) 00時39分
OM-1の購入の情景…よろしいなあ~ 目に浮かぶ光景
店と父と自分自身との三つ巴の戦い。
いや~ァ~面白く読ませていただきました。
短編小説ですねえ。志賀直哉の「小僧の神様」を彷彿。
私はOM-1が名称変更される前のM-1を予約して待ち受けて購入しました。
大阪の長堀橋近くのカメラ店でした。
私はクロームのボディーで感度設定ダイアルのキラキラの凄さに驚いたのを覚えています。
当時雑誌「写真工業」の表紙になりまして、M-1に
一目惚れ。20代半ばだったように思います。
現在当時の思い出のM-1(OM-1)を手に入れようと
適当な中古を探しているところ、貴ブログに漂着した
次第です。
スプリット式焦点版、視度補正レンズ、アクセサリーシューなどが必要で、これは色々難しくなりそうです。
ともあれ手に入れたら山の森の写真を撮りたいです。
現在はKLASSE(初代モデル)を使用中です。
投稿: Be | 2010年3月15日 (月) 03時55分
★ Beさん、はじめまして。
ご訪問、ようこそです。
購入物語、お読みいただき、ありがとうございます。
ホント、忘れられない思い出なんです。
BeさんはM-1ですか、それはレア物ですね。
私も手に入れてしまいました。
http://poyorin.cocolog-nifty.com/blog/2009/04/omolympus-m-1-f.html
(今は手元にありませんが)
> スプリット式焦点版、視度補正レンズ、アクセサリーシューなどが必要で
これらは、Yahoo!オークションで手に入りますよ。
アイカップと視度調節レンズ↓↓↓
http://poyorin.cocolog-nifty.com/blog/2009/04/om-b889.html
OM関連のグッズなどは、「カテゴリー>カメラ or 撮影機材 or レンズ」に
載せていますので、よろしかったらご覧ください。
アクセサリーシューは、余っているので差し上げましょうか?
今後ともよろしくです。
投稿: ぽよりん | 2010年3月15日 (月) 23時55分